木曽川へそそぐ、茗荷の滝。
地元民も知らない、幻の滝。小生の田舎は、なにかと木曽川沿いに面しており、恐らく山中の尾根を彷徨えば、木曽川へ向かって落ち込む滝が、いくつもあると睨んでおる訳でございます。
その一つが、今日行ってきました、茗荷(なに)の滝。なぜにそんな名称なのか、由来も情報も少なく、確かに実在はしているものの、秘密めいた滝であります。
いかんせん、地元住民すら知らないと言われる始末。
わずかなネット情報から、入口付近の集落を見つけ、あとはガレた獣道を恐る恐る下る訳であります。
いきなり山を下る。
クライマーにとっては奇妙な経験だと思う訳です。そしてそのイレギュラーさは、小生の準備にも、意外な悪影響を及ぼしました。
山の中は涼しいだろうと、一応、虫や怪我をしない程度の最低限クライマー装備で、原付きで現地付近へ向かい、荷物はスマホと財布のみ。
これが重大なミスだった、、、。
道なき道。山中を右往左往と彷徨い、目下に、エメラルドグリーンな木曽川が、木々の間にうっすらと見えてきたのですが、、、。
何やら体調がおかしい。
1人山中の木陰(ほとんど日陰)に座り込み、ジワジワと動悸と呼吸が荒くなり、軽い目眩に襲われました。
恐らく脱水症状。
本日は5月ながら、歴史上稀に見る猛暑日でありました。いくら山中とは言え、彷徨いながら、知らず知らずに汗をかきすぎたようであります。
おまけに水分すら持っておらず、その気分の優れなさ故、ここまでの道筋すら、もはや怪しい。孤独と絶望的な体調不良に見舞われてしまいました。
しかし僅かに聞こえる滝の音。そのする方へ、ゆっくり下るも、手足の軽い痺れ。
大丈夫か、俺、、、。
ようやく木々の間から、滝を確認しました。しかしまだ下れと言わんばかりの距離。ざっと見150メートル。しかも滝を下から見上げるには更に下る訳で、その高さは未定。
その滝までも、そして振り返っても、道と思える道は無く、体調は更に悪化する一方。体が水分を全力で欲しているのが、本気で解る状態。
これ以上、下るともう登れない気しかしない、、、。
微かに滝を確認し、とにかく上へ。数十メートル登っては日陰で休息し、呼吸を整え、焦らず時間をかけて、ようやく獣道らしき道へ戻ってこれました。
原付きに置いておいた水分を補給した時、体に染み渡るそのありがたみを、紺碧の空を仰いで感謝する以外ありませんでした。
大袈裟な文章ではありますが、甘ったれた装備で分け入った山の神様に謝罪し、再アタックを誓う訳でありました。
なんとなくルートは分かったので、次回は万全を期して、その幻の滝を間近で眺めたいと思います。
たとえ軽い登山でも、安易に考えるのは危険だと痛感した1日でありました。
しかし本当に脱水症状だったのか、何やらパワースポット的な超常現象だったのか、無礼な人の侵入を許さない、獅子神からの警告か。
途中なんかヘンテコな植物に遭遇いたしました。ウラシマソウと言う絶滅危惧種だそうで、怪しい毒性ありのため要注意。