彩雲斎の雑記

令和のこどおじ 人畜無害に日和ってくstyle

赤岳クライムオン

 赤岳の麓、午前四時。

 

 何とも言えない、満天の星空でございます。その限りなく澄んだ空気が、一切の邪魔をせず、別次元の輝きを星に与えておるようでございます。

 

 ロマンチクック過ぎて、もはや現実味に欠けるほど、空が近くかんづる訳であります。

 

 一つ一つの瞬きは、いつの世も人類にとって共通に、そのまばゆい光に思わず願いを込めたくなるモノでございます。

 

 こんな星空のもと、意中の女性に告白しようにも、時間は丑三つ時を回った所だと、最早眠すぎて、苛立ちすらかんづる次第です。

 

 しかし、今日は中年男3人。赤岳の山頂を目指し、夜中に車を走らせ、登山口に到着するや否や、星空に感動しながら、すでに歩き始めております。

 

 特に言葉はありません。それぞれのペースを守りながら、登るほどに後悔も大きくなると言う矛盾。

 

 その頂きが、困難であればあるほど、制覇しナミダを流すのは、もう降りる気力が無い絶望からだと言います。

 

 しかし、そこに山があるから登る。

 

 この奇妙な精神論は、日本古来からの山岳信仰に基づいているのであります。

 

 俗世の迷いは、山岳修行によって無意識に振り払うかの如く、その概念は遺伝子レベルに根付いているようであります。

 

 ゆっくりと明るくなる。視界が徐々に開けてくると、いい感じに蒸した苔が、大袈裟に言えば、古(いにしえ)からの大自然を彷彿し、人害も届かない雄大な自然の素の姿。

 

 そしてその大自然から、澄んだ空気を小刻みに呼吸しながら、決して後ろを振り返る事無く、天気だけを気にして黙々と歩くこと約3時間半。

 

 山頂間際の行者小屋で、お湯を沸かしてカップラーメンを食べる。

 

 そして珈琲を煎れる。

 

 、、、サイコーだ。

 

 標高は2000メートルほど、さっきよりまた空が近い。しかしあいにくの天気。更に今から天気は下り坂。

 

 山頂は諦め、もう少し、森林限界地点まで登り、そこから引き返す事に致しました。

 

 途中、小雨に振られながら、疲労もピークに達しておりましたが、それを振り切る程の爽快感。

 

 普段は低登山を楽しむ小生でありますが、時にはこうしたハードな山も、準備も含めて、また来たいと思う1日でありました。
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